福島第一原発の現状9

3/19 10:00時点
昨日から日中は大学に復帰したので,ちょっと情報量が足りていないかもしれませんが,twitterでさらに拡散していただいた方がいらっしゃったようなので,わかる範囲で情報提供いたします.


【事態収拾のために打っている対策】
 ・海水注入による炉心の冷却
 ・放水による使用済み燃料プールへの水の注入(冷却,放射線遮蔽)


【現状】
 ・炉心の状況はあまり情報が提供されていないため判断不能
   −ただし昨日は私が東電記者会見を見れていないので,何か言ってた可能性はある
   −悪化したら報告が入るはずなので,それがないのは悪くはない証拠か?
 ・放水は,ヘリコプターによるものはやめ,地上から継続
   −自衛隊に加え,昨日の夜から消防隊のハイパーレスキューによる放水も開始
   −放水作業による被ばく量も数mSvと言われているので,被ばく管理の面からは大きな影響なく継続可能
   −ただし効果については定かではない(放水したのち水蒸気が発生していることから一定の冷却はできているが)
 ・周囲の放射線計測の数値が下がっている模様
   −建屋付近か,正門付近かは不明
   −現時点での放射性物質の漏えい,という点ではよい傾向
 ・外部電源が復旧する可能性
   −放水作業とバランスを取りつつ,2号機への接続作業を行う
   −詳細はhttp://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1359-j.pdf


 得られている情報からだと,引き続き小康状態で安定.着実に上記2つの対策を行い,事態の推移を見守る
 外部電源の復旧は1つの鍵
 機器の点検も必要なので電源を繋いだだけではだめだが,冷却系統が復旧すれば状況は少し好転する可能性あり


【情報の正確性について】
直前のエントリへコメントとしてもいただきましたが,東電や政府が正しい情報を開示していないのではないか,情報を隠ぺいしているのではないか,という疑念をお持ちの方もいらっしゃるかと思います.それに関して,私の意見を述べます.ご参考に.


 ・少なくとも,発表されているデータ(数値)は正しいだろう(速報性の高いものを除く)
 ・事象の因果関係や今後の見通しについては,信頼して良いが同時に検証も必要
   −検証を行う場合は,公表されているデータを基に,論理的に仮説を立てて行うべき
   −「東電は過去に事実を隠ぺいしていたことがあり信用できない」は検証になっていない
 ・一方で事態を正確に把握するのに必要と思われる情報の一部が出てきていないと思う部分があるのも事実
   −具体的には炉内の圧力や水位,使用済み燃料プールの水位や温度(私が聞き逃している可能性あり)
   −計測機器がうまく作動していないor信頼できる値を示していない可能性もある
   −公表していないのか,そもそもうまく計測できていないのかは不明
   −データの公表を追及しても良いがきちんとポイントを絞って追及すべき
    (新たな現場確認等により以前公表した事実と異なる見解を示した場合などやむを得ない場合と明確に区別


 ・私が参考にしている情報ソース(基本的に当事者発表による1次情報,NHKのみ2次情報)
   官房長官会見          http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/index.html
   原子力安全・保安院 緊急情報 http://kinkyu.nisa.go.jp/
   東電 プレスリリース      http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/2010-j.html
   NHK 福島第一関連ニュース   http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/index.html