福島第一原発の状況10

3/25 0:30時点
日常復帰して今までのような情報発信が難しくなりつつありますが,できる範囲で現状のまとめ.
野菜などからの放射性物質の検出が連日伝えられていますが,個人的に詳しくないため解説はできません.
気になってブログを覗いてくれている方がいらっしゃったら,お役に立てずすいません.
チーム中川@team_nakagawaや放医研http://www.nirs.go.jp/index.shtmlを参照ください.


【電源および機器の復旧】
 ・外部電源は1〜6号全てに接続,受電
 ・1号及び3号の中央制御室の照明復旧
   −作業環境が改善
   −計器はどれくらい復旧しているのか?
   −計器が復旧すると,発電所の状態がより正確にわかり,より的確な対応策を打てる
   −事故発生から現在までは炉圧や炉水位など最低限のデータを取るためにごく一部を非常用バッテリで稼働
 ・1〜4号全てで冷却機能の回復のために機器の点検中
   −2号は放射線量が高く,作業が難航
   −3号は地下は30cm程度の浸水あり(他も同じような状況か?)
   −浸水だけで機器が壊れていなければ,早期の復旧も可能(ただしメンテナンスは必要)


 事態を収束させるために最も重要な作業
 以前も懸念を述べた通り,海水冷却は内部に塩が溜まってしまうため,どこかで真水に切り替えないとならない
 最終的に冷温停止し,常時コントロール下に置くには外部電源による冷却機能の復旧が不可欠


【原子炉内および使用済み燃料プール】
 ・原子炉内
   −1号の温度が高くなっている(優先度高)
   −2・3号も
   −事態の悪化を防ぐために海水注入は鋭意継続
   −外部電源による冷却機能の回復を待つ
 ・使用済み燃料プール
   −自衛隊及びハイパーレスキューの放水がうまくいっており,冷却できている
   −2号の冷却状況は少し心配(建屋が残っており,放水が困難?)
   −2〜3日程前に2号に対して若干の放水を行ったという報道があったが,方法は不明
   −原子炉と同じく,外部電源による冷却機能の回復を待つ


【作業員の被ばく管理】
 ・3号の冷却機能の点検を行っていた作業員の被ばく量が180mSvと高い数値
 ・うち2人はベータ線熱傷の可能性

 
 今までは現場は線量管理をきちんとやっているので大丈夫と述べてきたが,今回の件は疑問を呈さざるを得ない
 なぜ放射性物質が皮膚に付着するような事態になってしまったのか?
 30cmの水の中で作業するための備えがなく対応できなかったということは考えられる
 現場も被災地なので,先週までは水すら十分になかったよう
 臨機応変な対策(例えばビニール袋で)をするための物資も不足しているだろう
 しかし被ばく管理は作業員の健康と作業の進捗の両面から大切
 難しい判断であることは間違いないが,できる限りの対策を取ってほしい

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【余談】
科学的な解説は提供できませんが,私ならどうするか,ということを書いてみます.自分はホウレンソウ(ただし水洗い等はちゃんとする)も食べれば水も飲みますが,仮に小さい子供がいたとしたらミネラル・ウォーターを飲ませると思います.大人より子供の方が影響が出やすいですし,科学的にというよりは精神的に,できる限り小さい子供をリスクから守りたいのは理解できます.一方で少なくとも大人には健康影響がない範囲だとわかっているものであれば,例えば茨城のホウレンソウを使ってしかも1食あたり○○円を被災地に寄付するレストランとか,復興キャンペーンみたいなのがあってもいいと思います.お客のターゲットは限られますが,茨城や福島も被災地なので.